宮窪歴史散歩② ~海南寺 おねはん(3/28)~
去る3月28日(日)、海南寺で【おねはん】と呼ばれる法要がいとなまれました。この法要は、一般に「涅槃会」(ねはんえ)や「常楽会」(じょうらくえ)と呼ばれ、お釈迦さまの命日とされる旧暦2月15日に催される宗教行事です。今年の旧暦2月15日は“3月30日(火)”にあたるため、檀家さんが集まりやすい日曜日にとり行われたようです。
ただし、海南寺で【おねはん】がいとなまれるのは5年に1度で、近郷の同じ真言宗御室派寺院5ケ寺が、毎年持ち回りで【おねはん】を実施しています。輪番制をしているその結衆寺院5ケ寺とは、大島の高龍寺(名)・福蔵寺(福田)・法南寺(椋名)・海南寺(宮窪)と伯方島の西明寺(有津)です。来年は、福蔵寺で【おねはん】が開催される予定で、各寺によって催しにも多様性があるようです。
一般には、お釈迦さまの入滅(死)を描いた涅槃図を掲げ、僧侶や檀家さんがその遺徳を偲び、お釈迦さま最後の説法にちなんだお経(仏遺教経)を唱えるのですが、海南寺の場合は、それ以外の催しも実施しています。今回は、檀家さんに呼びかけて、午前中に稚児行列を実施し、午後から余興と教養講座をかねた講演会・演奏会を客殿で行っています
今回、初めて涅槃図を拝見。海南寺所蔵の同図は、享和元(1801)年に高野山において新調したようで、“酒呑み坊さん”の圓乗の代に、檀家であった友浦村庄屋・矢野強八が寄進しています。色がとても鮮やかで、描かれた内容に物語性を感じたので、しばらく見入ってしまいました。手前には、この5年間に亡くなった檀家さんのお位牌も並べられていました。海南寺では、涅槃図は【おねはん】のみのご開帳となるため、貴重な文化財に触れるいい機会でもあります。前回の【おねはん】に合わせて、修復を行ったようで、今後ともお寺と檀家さんの宝物として大切に管理して欲しいですね。