「海からあがった宝もの」展
1年で最も寒い時季を迎えておりますが、しまなみ海道のサイクリング観光客が途絶えることはありません。寒くて外出をひかえようとするあなたのために、現在、今治市村上水軍博物館で開催中の企画展「第3回 海からあがった宝もの」展をご紹介致します。
このシリーズもはや3回目を迎えました。宮窪の漁師さんが底引き網や潜水漁業で水揚げしたナウマンゾウの化石が、今回もふんだんに出品されています(自然科学博物館に匹敵、いやそれ以上!?)。回を重ねるごとに採集情報が寄せられるため、毎回アレンジを加えた展示内容となっています。海から揚がるのは食べる魚介類だけではない、宮窪地域資源の底力を感じます。
☆しまなみ海道にも象がいた!
今治ご当地検定のテキスト『いまばり博士』(今治商工会/筆者一部執筆)によると、「氷河時代が最終期を迎える今から約2万年前、海面は現在よりも100m前後低く、瀬戸内海は草原でした。このため、来島海峡周辺の斎灘や燧灘の浅瀬では、漁師の底引き網からナウマンゾウの化石が見つかることがあります。また、これらを獲物とする人々の痕跡として、伯方島の金ヶ崎遺跡などから、ナイフ形石器や角錐状石器が見つかっています」と。とりわけ、伯方島~岩城島の海底でナウマンゾウの化石が多く見つかるとされ、その海域は“象の墓場”とも称されるようです。
本企画展の目玉としましては、赤ちゃん象の下顎骨が展示されていることです(陳列ケースの中)。一般に目にするナウマンゾウの化石は、臼歯・牙・大腿骨といった、象の体形をイメージしにくいパーツが多いものですが、この下顎骨(臼歯付き)を見ると臼歯との位置関係もよく分かります。
☆碇石は何を物語るの?
もう1つの目玉は、まとまった数の碇石(いかりいし)が展示されていることで、投錨中に離脱したものか、それとも沈没船のものか、想像がふくらみます。学芸員さんによれば、「碇石については、採集場所のデータを蓄積することで、その謎の解明に取り組みたい!」とのことでした。来島海峡周辺の碇石発見情報をお持ちの方は、村上水軍博物館までお寄せ下さい。個人的には、海賊時代の沈没船が見つかって欲しいなぁ(お目当ては船の構造で、金銀財宝じゃないよ!)