石文化体験ツアーのガイド研修会を開催(3/20)
ガイド研修会
他産地との比較
4月からは、土日・祝日の団体客の対応も行う予定です(平日は断念)。目下の課題は、ガイドのレベル向上。M事務局長以外に、もう何人かスペシャリストを育成しなくてはいけません。そこで、大島石を鉱物学的に語れる講師をお招きし、石文化伝承館で研修会を実施しました。講師は宇和島東高校の千葉昇先生で、「大島石の魅力」と題して約1時間20分ほどご講演頂きました。千葉先生は、約20年前に愛媛大学理学部の桃井齊先生(故人)と大島石の調査経験があるそうです。出席者の中には採石業者(経営者2名)もいて、講演中でも気になった点があれば質問をする、熱のコモッタ研修会となりました。
講演内容を要約しますと、大島石は、マグマがゆっくり冷えてできた岩石(花崗岩)で、これには100万年近い時間がかかっているとのこと。アドバルーンみたいに地下から上がってきて、そうした風船や泡のような形でカタマリを成しているとのこと。その中心部分で高品質の花崗岩が採取されるそうです。地元採石業者はこれを卵に例え、黄身の部分だけいい石が採れると表現していました。
【大島石の特長】として、〝美しい色合い〟〝硬い〟〝風化に強く、輝きを失わない〟〝汚れにくい〟〝細粒で均質〟などがあげられます。これには【大島石の岩石的特徴】として、〝灰白色~青灰色の細粒で均質な花崗岩〟〝黒雲母(クロウンモ)が多い〟〝石英(セキエイ)の透明度が高い〟〝吸水率が低い〟などが関係するとのこと。とりわけ、水に濡らすと深い色合いが出てくるそうで、他産地との違いがはっきりするそうです。同じ花崗岩でも、瀬戸内海沿岸で北側のもの(例.北木石)は鉄分を多く含むため、風化に弱く、サビ色の汚れが生じるとか。
大島石に似た花崗岩は他にもあるようですが(例.青木石・天山石)、それらは大島石に比べて鉱物の並び具合にメリハリがなく、ぼやっとしている感じが表面採取のサンプルから見てとれました。水のしみ込み方でも違いがでるそうです。あるエピソードとして、大島石の墓石と言われて購入したものが、実は青木石だったとか(>_<)。素人はゴマカセテモ、専門家の目はゴマカセナイほど、大島石は特異な花崗岩のようです。
そんな大島石ですが、採石業者によれば「そういう特長の石は、大島でも、大山(念仏山)~カレイ山の限られたエリアでしか採石できない」「近隣の島々で採れた花崗岩は、明らかに大島石とは違う性質である」とのことでした。では、なぜそうなのか?この点については、千葉先生もよく分からないとのことでした。つまりは、大島石について、さらに突っ込んだ研究が求められており、この石は世界的にみても稀な花崗岩のようです(まさに、石業界のレア・アース!?)。高級墓石以外の高付加価値用途がありそうですね!
今治タオルがブランド化して関心が高まっているように、大島石も県や市の〝しまなみ観光戦略〟に乗っかり、業界をあげてブランド化を図ってみてはどうでしょう。現状では、大島石の本当の価値が広く周知されていません。現状に満足していたら発展はなく、個々の頑張りにも限界があります。講演終了後は、千葉先生も交え、大島石談義一色の懇親会となりました。近く、2回目のガイド研修会を実施予定!